チアウーマンの皆さん、こんにちは!事務局のチア子です。
 

前回はパラリンピックの起源や楽しみ方についてご紹介いたしましたが、
今回はなんと、東京2020大会で車いすバスケットボール女子日本代表キャプテンを
務めた藤井郁美選手にお話を伺うことが出来ました。

藤井 郁美(ふじい いくみ)選手

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小学3年生でミニバスケットボールを始める。中学でもバスケ部に所属し、
活躍するも卒業目前で悪性骨肉腫を発症、右足の大腿骨と膝関節を切除、人工関節となる。
19歳で潰瘍性大腸炎と診断され、大腸を全摘出。2002年、20歳で車いすバスケをはじめ、
3年後には日本代表に選出。その後、より高いレベルでの練習環境を求めて
男子車いすバスケチームの強豪「宮城MAX」へ移籍。以来数々の国際大会でエースとして活躍。
2017年には乳がんと診断されるも、手術後10日で練習に復帰。
2020年東京パラリンピック大会は2008年北京大会に続き2回目の出場となり、
共同キャプテンも務めた。


       ※医療用語解説※

  骨肉腫:

  骨にできる悪性腫瘍の中で、最も有名な病気です。

  肉腫とは、広い意味の「がん」ですが、骨や筋肉・脂肪・神経・血管などに
  発生した悪性腫瘍を「肉腫」といいます。

  潰瘍性大腸炎:

  大腸の粘膜に炎症が起こり、ただれ、時には深層部まで傷がついてしまう病気です。
  様々な要因が関与して発症すると考えられていますが、原因については現在のところ
  はっきりしていません。発症頻度は、人口50万人あたりに500人程度です。


2002年に車いすバスケを始めてから東京オリンピックまで、
常に第一線で活躍し続けてきた藤井選手。笑顔でお答えいただく中で、
時折真剣に悩まれたり、考えこまれたりしながら、どのような質問にも
真剣にご回答いただきました。競技のこと、治療のこと、生活のこと、
役だつお話が盛りだくさんのインタビューとなりました。

インタビュー<前編>
キャプテンとして挑んだ東京2020大会/育児と家事と仕事と競技

チア子
早速ですが、大会が終わって1か月。北京大会ぶりの出場、キャプテンとしてリードされた大会ですが、今のお気持ちを教えて下さい。

藤井選手
そうですね。本当に正直、開催されるかどうかわからなかった中だったので、無事終えることが出来て、戦いきることが出来てほっとしていますし、すがすがしい思いでいっぱいです(笑)
今回の大会では、やっぱり新型コロナウイルスの感染者をチームの中で出してはいけないという、勝負事とは別の緊張感というものを、選手村に入る前から持ちながらの大会でした。すごく色々な面で気を使いながらの生活で、そういう面で大変ではありました。

チア子
コロナ禍での開催ということも含めて、色んな意味で特別だったTokyo2020大会かと思います。様々なインタビューでも藤井選手の口から、この大会が「集大成」という言葉も出てきていたかと思います。北京大会からおよそ20年間、トップ選手であった印象が強い藤井選手ですが、トップで活躍できる理由、頑張り続けられる理由とは何でしょうか。

藤井選手
そうですね。20年間ずっとモチベーションが一緒だったわけでもなく、その都度その都度、自分だったりチームだったり課題はいつも違っていました。そのひとつひとつの目標と、それを達成するためにという想いで日々やってきたら、気づいたら20年経っていたというような(笑)積み重ねていたら結果ここまでやっていたという感覚です。まだできる、まだやれるという自分への課題や挑戦は技術面のところでもそうですし、そういった課題が出ればでるほど、「まだやれる、まだやらなきゃいけない、これをやらなきゃ勝てない」というように、どんどん膨らんでいった結果ですかね。

チア子
「これはやらなきゃ勝てない」という考え方は、藤井選手の経歴を拝見しているととても納得ができます。常に上を目指して、そのためになんでもするという印象がありますが、藤井選手が何か判断をするときに、自分はこう考える癖があるとか、こう考えるようにしているということがあれば教えて下さい。

チア子メモ:
2006年、藤井選手はルーキーとして出場した世界選手権大会で、
日本車いすバスケチームと世界とのレベルの違いに衝撃を受ける。
日本チームが世界で互角に戦うためには、よりレベルの高い練習環境が必要だと感じ、
所属チームの移籍を決意。移籍先に選んだのは、当時の活動拠点であった神奈川から
遠く離れた仙台、当時は男子選手のみが在籍していた国内強豪チーム「宮城MAX」だった。

藤井選手
とにかく、昔から直感で生きていましたね。(笑)直感型で、この行動をしなかった自分とした時の自分、どちらがいいだろうって考えたときに、絶対行動した後の自分のほうがいいっていうのがわかるから、その時はもう、それを信じて動いていました。幼い頃から決めたらすぐ行動、という感じでした。

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チア子
直感で、そこまで頑張りきることができるのがすごいですね。現在藤井さんは、6歳のお子さんがいらっしゃって、お仕事もされています。育児と家事とお仕事と競技、4つ同時進行でこなしていらっしゃいますが、コツや秘訣はありますか。

藤井選手
全然こなしてないですよ(笑)こなしてないですし、こなそうともしていないです。でも本来の自分の性格的には、すべてを完璧にやりたいっていうのがあると思います。でもこれだけやることがあると、やっぱりそうもいかない。最初は自分の事だけで、バスケットボールの事と仕事の事くらいでよかった。でも結婚して、子供ができて、色んな事が増えていく度に、完璧を求めていたら、自分がつぶれてしまう。なので、頼るところは頼ったり、後回しにできることは後回しにしたりとか、自分の中で、生活していく上での優先順位を日々つけながら生活するようになりましたね。

チア子
チームビルディングの秘訣についておしえてください。今回の大会を見ていて、日本チームはベンチがとても明るいなといった印象がありました。一方で、車いすバスケというスポーツの特性上、障害の重度が人によって大きく違ったり、競技人生も長く、年代にもバラつきがあると思います。そんなチームを一つにまとめる苦労や工夫を教えて下さい。

藤井選手
車椅子バスケットは年齢が幅広いですし、経験年数も全然違います。生きてきたバックグラウンドも一人一人違うものをかかえて、それでもひとつの目標に向かって戦っていくって、本当にすごく難しいですね。
どの世界もそうだと思いますが、年齢や経験に差があると、余計感じ方や捉え方の差というか、ジェネレーションギャップが出てしまいます。でもやっぱり日本代表として戦わなければいけない責任と自覚を全員が持たなくてはならない。それを前提に、年齢や経験にかかわらず、意見を言えるチームにしていきたいと考えていました。コートに入れば、年齢や経験は関係ないので。自分の思ったこと、こうしたいということを言える環境にしなければいけないなって思いました。
それで選手ミーティングなどコミュニケーションを多くとりました。年長者やベテラン選手は意見を言い易いですが、経験の浅い選手達は、最初は自信がなくて、なかなか意見が言えないこともありました。でも無理には求めませんでした。試合に出ている選手は意見しやすいし、年齢が低ければ低いほど、さらに試合に出ていなければ、意見を言いづらいのが当然なので。そこはあえて皆の前でどう思っているのかは言わせませんでした。その代わりに、その全体の選手ミーティングで話せないのであれば、グループワークでわかれて2~3人で意見を言える環境を作りました。そういったコミュニケーショントレーニングを積みながら、最終的には何十人となった中でも誰しもが意見を言えるようになりました。チームの理想像を叶えるために、ミーティングひとつをとっても今はこれをしておかなければいけないと、最初の頃は取り組んでいましたね。

チア子
チームの全員が意見を言えるようになるまで、どの程度時間がかかったでしょうか。なにか発言を促す工夫などはされたのでしょうか。

藤井選手
小グループのワークと全体のミーティングは並行して行っていたのですが、数回小グループでのグループワークを重ねると効果は出ていた気がします。そんなに時間はかからなかったですね。あとは小グループのワークであろうと、大きいグループでのミーティングであろうと、とにかく誰かが話しているときは口出しするなということを言っていました。まず黙って人の話を聞きなさいと。で、否定も肯定もしない。ベースにはとにかく仲間を尊重して取り組むようにと、ずっとうるさく言っていました。

チア子
「黙って聞く」というのは基本的なことですが、日々の生活でも実はできていない気がします。
 
藤井選手
言いたい人は、すぐ最後まで話聞かずに発言してしまいますね。相手の話を否定するわけでもないけれど、でも私はこうで、と話だしちゃう人がいたりします。
ただそうすると、それで萎縮してしまう人も出てくる。何でも白黒つけるなとも言いましたし、勝負事ですし、バスケは相手がいるスポーツなわけで、ゲーム中でも必ず白、必ず黒って事はやはりないので。そういったこともかなり言いましたね。

■<前半>おわり

藤井選手のインタビュー、いかがでしたでしょうか。
<後半>では、東京大会前に診断を受け、治療をうけられた乳がんについて伺います。

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